大原山西福寺 第51世 二橋 信玄より
【令和5年1月】
「あやまりを正す月とや初参り」
お正月には神社仏閣に初詣される方が多いと思います。そして、いろんな願い事をされます。家内安全・商売繁盛・身体健全・学業上達・良縁成就・宝くじが当たりますように等々限りがありません。
凡夫である私たちは、欲望のままに何でもお願いしてしまいます。これは単なる「おねだり信仰」です。我儘勝手、言いたい放題したい放題、自分さえ良かったらいい。自分中心でしか物を考える事しか出来ないあさましい生き者なんです。そして、思い通りならないからこそ迷い悩み苦しんでいるのが現実です。
お正月の初参りは、この間違った考え、心を正す月なんです。
正月の正は『一』に『止』まると書きます。『一』に『止』まるとは、正しい思い、正しい言葉、正しい行いにて生活することが大切で、法然上人は称名念佛こそ正しい行であると申されております。
一年の計は元旦にあり。元旦には新しい決意を以て、お念佛の中に正しく生きて行く事を誓うのです。
お寺ではこの心を以て、元日に修正会を勤めます。修正会にお参りできなかった人は何時でもよろしいからお参りしましょう。何度でもお参りされたら良いと思います。
法然上人は『逆修説法』に「衆生(生きとし生ける者)にとって、生命こそ宝である。生かされている生命こそ尊い。」と申されております。
「生かさるる いのち尊し 今朝の春」(中村久子)
何よりも、新年の初参りの心は、おかげさまで新年を無事に迎えることが出来ましたと、感謝の心で合掌お念佛を申し上げる事が大事です。
2023年1月1日
二橋 信玄 (大原山西福寺 第51世)