今月の言葉(令和4年6月)

大原山西福寺 第51世 二橋 信玄より

【令和4年6月】

 世間の喜びと出世間の喜び

 

 ある方が生前「私はお寺詣りをさせていただくのが一番の喜びです。」とよく娘さんに話しておられたそうです。


 南無阿弥陀佛とお念佛を申すことで如来様と心通わす喜びです。この喜びは清らかな喜び、つきぬ平安の楽しみ、魂の喜びで、「出世間の喜び」といいます。


 それに対して「世間の喜び」があります。煩悩のおもむくままに、美味しい物を食したい。良い物が欲しい。楽したい、良い思いをしたい。ひたすら享楽を求める。この喜びも生きていくうえで大切ですが、この喜びはひと時の喜びで長く続かないばかりか、あとに清らかさを残さない空しさの残る喜びです。


 一般に人は「世間の喜び」を追い求めつづけていくのが普通の人の一生です。しかしながら「出世間の喜び」こそが真の幸福の世界であり、西方極楽浄土へと導いて下さる喜びであります。


 どうか「出世間の喜び」を求め、お念仏ご精進していただきたいものです。


2022年6月1日 

二橋 信玄 (大原山西福寺 第51世)