今月の言葉(令和4年1月)

大原山西福寺 第51世 二橋 信玄より

【令和4年1月】

 平安を祈る『祝聖文』

 

 天下和順 日月清明 風雨以時 災厲不起
 国富民安 兵戈無用 崇徳興仁 務修禮譲

『無量寿経下巻』

 

 「国中すべのものが和らぎ、日や月が大空に輝き、時に応じて雨が降り、風が吹き、災害や疫病が発生せず、国や民は豊かにまた安らかに、武器を行使せずに戦うことなく、人々は徳を崇め、仁を興し、礼儀と謙譲の道にいそしむ」の意味です。

 
 この『祝聖文』は、元旦に行います修正会にてお唱えしますが、勅願所である西福寺は特に毎日この偈文を唱えて国中の平和平安を願うのが大切な役目です。

 
 感染症との闘いは、長い歴史の上において何度も何度も経験して、人類はそのたびに力強く乗り越えてきたのです。この苦難を乗り越えられないはずはありません。必ず必ず明るい光明が見えてくるはずです。

 
 お釈迦さまが、『法句経』において「すべてのものは暴力に怯えている。すべての生き物にとって生命が愛しい。己が身にひきくらべて殺してはならぬ。殺させてもならぬ」と示しておられるように、また法然上人も『逆修説法』の中で「衆生の宝にも命を持って第一の宝とす」と命の大切さを言及されていますように、生かされている生命を慶び、平和を願わねばなりません。

2022年1月1日 

二橋 信玄 (大原山西福寺 第51世)

 

2021年11月3日 撮影者:前川考志氏