今月の言葉(令和5年3月)

大原山西福寺 第51世 二橋 信玄より

【令和5年3月】

   

「微笑は 微笑をうむ 春の風」

 

 春の風と言えば、昔キャンデーズが歌っていた「春一番」を思いだされる方が有ると思います。「春一番」は、春の到来を告げる風のことで、元々は猟師の方が使われていた言葉のようですが、今では正式な気象用語にもなっています。


 立春から春分の日の間に吹く、暖かい南寄りの強風ですが、この風が吹くと春を感じさせてくれます。


 人は誰でも人生に躓く事が一度や二度はあります。愛する家族を失ったり、事業に失敗したり、辛い宣告を受けねばならない病に侵される事もあります。しかし、そんな苦しい時、寂しい時に、笑顔に出会ったり、優しい言葉をかけてもらったりすると心が安らいで、勇気が湧いてきたり、元気になったりします。


 佛教には大切な、お浄土へ渡る行法としての六波羅蜜行があり、最初に「布施」(施しは無上の善根なり)の行法が説かれてあります。


 「布施」には種々ありますが、そのうちの一つに「和顔悦色施」と言う「布施」があり、「和顔」は思いやりのある慈愛のこもった表情。「悦色」とは喜びが表情として表れていることです。つまり、思いやりのある喜びに満ち溢れた表情で人に接すると、相手は心豊かになるというものです。


 「微笑は 人一代の 身だしなみ」(内山芳夫)ともいいます。ニッコリ微笑んで、「おはようございます」と挨拶をしたなら、本人も挨拶を受けた人の心も和み、気持ちの良いものです。微笑は必ず微笑を呼ぶのです。


 「微笑は 微笑をうむ 春の風」


 このことが判った人から春の風になることが大切ですね。


 お念佛を称える人は自ずと「布施」の行法も備わると説かれています。お念佛は何時でも、何処でも、誰でも称えることができる尊いものです。


 「微笑は 何時でも 何処でも どなたにも」(前川進一)



2023年3月1日 

二橋 信玄 (大原山西福寺 第51世)