大原山西福寺 第51世 二橋 信玄より
【令和5年8月】
「お盆は親孝行の日」
お盆の季節を迎えます。亡き父母や先祖が、お浄土からこの娑婆世界に帰っておいでになる「霊まつり」の大事な行事です。
両親の 似顔集まる 盆帰省
故郷を長らく離れていた人たちもお盆には里帰り、遠く離れていた人たちにとって、我が家ほどいいところは無いと言います。親は元気な我が子に会うと一番喜んでくださいます。お盆は親孝行の日です。
お釈迦さまの弟子の目連尊者が、餓鬼道の世界に落ちて、苦しんでおられた亡き母を、お釈迦さまの「汝の母は、慳貪の罪(物惜しみ)にて餓鬼道に落ちなされた。幸い7月15日の僧が懺悔修養する日に供養して、苦を払う回向を頼むがよい。三世の諸仏、一切の三寶、過去七代の父母に供養するなら、母は勿論、多くの人たちも苦を除き福樂が得られる」との教により、母の苦を救ったのがお盆の始まりです。関東では7月15日を中心に関西では8月に勤まっております。
お盆に「盆礼」と言って、贈答をかわす習慣があります。この贈答を「生き見玉」とか「中元」とよびます。「中元」とはもともと中国の道教の考え方で、暦法では上元が1月15日。中元が7月15日。下元が10月15日とあり、何れも重要な祭日でした。時代とともに祭日にかわす贈答の事を意味するようになり、中元は盆行事と混ざり合って定着し、日本では歳暮と並んで贈答となりました。
今日あるは 先祖のおかげ 霊まつり
お盆は単に祖先の霊に対してのみ供養すると言う行事ではなく、「生き見玉(生き身魂)」と言って、お盆に存命されている父母に贈答をする習慣でもあります。「玉」は「魂」であり、血肉を分けて生み育ててくださった親のお陰さま、先祖のお陰さまを喜び、今生かされている生命を拝みあうのです。親を拝む事が一番の親孝行です。
物言わぬ 親に会うなり盆参り
お盆の行事は深く正しい生活の智慧が込められています。南無阿弥陀仏のお念仏の中に、ご先祖さまと向かい合い、命の尊さ、日々の暮らしや慈悲の教に目覚めさせて頂き、生かされている喜びを感じる意味深い大事な人間の魂の行事です。
夏休みの間、墓参り・精霊迎え・棚行・・お施餓鬼・地蔵盆等習い覚えたお盆の行事。大事な夏休み大人も子供も有意義に過ごしましょう。
2023年8月1日
二橋 信玄 (大原山西福寺 第51世)