今月の言葉 (毎月 1日更新)

 

法然上人 一刀十念御自作座像(西福寺御影堂御本尊)

【令和6年2月】

   

共に泣き 共に悲しみ 共に生きる」



 私共は、この世に量り知ることのできない、尊い生命の恵みを頂戴し、人として生まれさせていただいております。ところがこの娑婆世界は、諸行無常の世界でいろんなことがあります。会いたくない縁にも出会わねばならないのも人の世の定めです。


 この世に人として生命を頂いた私たちは、三つの坂を乗り越えていかねばならないといいます。一つは「登り坂」、そして「下りの坂」です。山を登る時は「ああシンドイ」。しかし峠を越えたら後は楽な下り坂です。ところが、今を盛りに生きておって下されば、後は下り坂ですが、この上り下りの坂は、あまりよい意味にとって下さいません。もう一つの坂は「まさか」の坂です。私たちは「まさか」の縁に、何時出会うかわかりません。私には関係がないと思っていますが、天災地変は何時やってくるかわかりません。


 滅多なことはないと思ってしまっています。みんな他人事のように思っている、これが現実です。


 令和6年お正月早々、能登半島でとんでもない大地震が発生しました。230人を超える方々が犠牲になり、今だ行方不明の方が沢山おられます。大事な家族を失い家を失い、生きる事さえままならない多くの方々が苦しんでおられます。悲しい現実です。


 お亡くなりになられた多くの方々のご冥福をお祈りし、ご遺族の皆様に心よりお悔やみを申しあげます。また被災されました皆様に衷心よりお見舞い申し上げます。


 一刻も早い災害復旧復興と、皆様の心身の安寧と平穏な日々を取り戻されますよう、ご祈念申し上げます。


 阪神淡路の大震災の折り、ある方が申されたんですが、「金の有る人は金を出せ。力の有る人は力を出せ。知恵のある人は知恵を出せ。金も力も知恵も無い人は元気出せ。」と乱暴な言い方ですが、その通りなんです。

 
 今生かされている私どもは、自分なら今何が出来るだろうか考えて、皆が出来うる限りの事はさせていただいて、寄り添ってあげたいですね。


 「共に泣き 共に悲しみ 共に生きる」の心が佛の大慈悲です。

 

 

 

2024年2月1日 

二橋 信玄 (大原山西福寺 第51世)