大原山西福寺 第51世 二橋 信玄より
【令和4年11月】
「素直な自分となって」
日本で初めてノーベル賞を受賞された、湯川秀樹博士は存在の理法を求めて「物みなの 底にひとつの法ありと 日にけに深く 思い入りつつ」と詠んでおられます。
人知によって究め尽くすことの出来ない宇宙の大生命(永遠不変の法・きまり・はたらき)に驚嘆され、信仰の世界を通して学問の方法論を説いておられるのです。
大切なことは、学問の世界では賢くなければなりませんが、信仰の世界では愚か者になり切らねばならないと言う事です。愚か者とは佛の前にひれ伏し愚直なまでに純朴な人を指すのです。
法然上人は、『智者のふるまいをせずして、ただ一向に念佛すべし』と申されております。自分は愚かな凡夫であると気づくことが大事で、何にも知らない私、知ったかぶりをせず、素直な自分となって、ただ佛助けたまえ南無阿弥陀佛と称えよとお示し下さっております。
浄土宗は、還愚(げんぐ)と言って愚に還る教えです。お念佛は理屈じゃないのです。素直な自分となって、お念佛を申しましょう。
2022年11月1日
二橋 信玄 (大原山西福寺 第51世)