今月の言葉 (毎月 1日更新)

 

法然上人 一刀十念御自作座像(西福寺御影堂御本尊)

【令和6年12月】

   

「 勧進行者 」


 念佛ノ行ヲ、信ゼザラン人ニアヒテ、御物語リ候ハザレ。イカニ況ヤ、宗論候フベカラズ。強チニ、異解異学ノ人ヲ見テ、コレヲ、アナヅリ、ソシル事候フベカラズ。イヨイヨ、オモキ罪人ニ、ナサン事不便ニ候フベシ。極楽ヲネガヒ、念佛ヲ申サン人ヲバ、塵刹ノ外ナリトモ、父母ノ慈悲ニ、オトラズ思シ食スベキナリ。今生ノ財宝トモシカラン人ヲバ、チカラヲ加エサセ給フベシ。モシ少シモ、念佛ニ心ヲカケ候ハン人ヲバ、イヨイヨ御勧メ候フベシ。コレモ弥陀如来ノ本願ノ、宮使イト思シ食シ候フベシ。


(『勅修御伝』第二十五巻)

 

 

 

 勧進行者とはお念仏の行者を勧誘することです。


 皆さんご存知の源頼朝の妻で北条政子は、夫の死後尼御台となりますが、法然上人に何度もお念佛についての質問をされ、法然上人は丁寧に諭すようにお返事をされています。


 この文は、鎌倉の二位の禅尼へ進ずる御返事の一節として残されており、北条政子の念佛往生に関する質問に答えたもので御念佛の功徳や修行、心得などを説かれています。


 解りやすく意訳しますと、

 

 「お念佛のことを信じない人に出あって、お念佛のことをお話しなさいますな。ましてお念佛がよいとか他の教えがよいとかと議論してはなりません。異なった教えを信奉している人を見て、これを軽蔑や非難をしてはなりません。相手に佛法を誹謗中傷させるようなことにもなり、重い罪人にしてしまいます。

 極楽に生まれたいと願いお念佛を申す人なら、たとえ遠方の彼方にある念佛者までも、父母の慈悲にもおとらぬように誉め、お助けなさるべきです。また現在この世の中で悩み苦しんでいる人々には加勢し援助してあげなさい。

 もし少しも、お念佛に心をかけぬ人には、いよいよお念佛するようにおすすめなさいませ。これも阿弥陀如来さまの御本願のおてつだいだと思わねばなりません。」

 


 私どもも重々心がけねばならない戒めと頂戴せねばなりません。

 

 

 

 

 

2024年12月1日 

二橋 信玄 (大原山西福寺 第51世)

 

 

  


2021年(令和3年)10月より、毎月1日に掲載しています。